従業員を試用期間の途中で解雇することは可能?
やる気を感じられない従業員を試用期間の途中で解雇することは可能でしょうか?試用期間の満了までにはあと1ヵ月と少し残っています。
試用期間とは、会社やお店が本採用する前に従業員の適性を判断する期間として設けられた制度です。試用期間の長さは法律では定められていませんが、一般的には1~6ヵ月程度を設定している事業所が多く、試用期間を設ける場合には試用期間の長さや期間中の賃金などの労働条件について就業規則や労働契約書で明確に記載しておく必要があります。
試用期間満了後に本採用をしない場合は「本採用拒否」と言われ、試用期間中の勤務態度不良や協調性の欠如などの素行不良が目立つ場合、または一定の教育を行っても基準レベルを満たさず能力不足が明らかであった場合は「本採用拒否」を行われるケースが多く、裁判例でも本採用後の解雇と比較して不当解雇となる可能性が低いとされています。
一方、ご質問のケースのように試用期間が満了する前に解雇を行った場合、「試用期間中の解雇」として取り扱われることになります。試用期間は、会社側としては「面接や採用時の提出資料では確認出来ない能力や適性などを見極める期間」であり、従業員側は「職場環境や業務内容に慣れることが出来るかを見極める期間」として設けられたものです。試用期間の満了前に解雇する場合は、従業員に必要な教育や指導を行わず、職場環境や業務に慣れるための期間を十分に与えないまま解雇したと判断されるため、不当解雇と判断される可能性が高くなります。
ただし、全ての場合において試用期間に係わる解雇が不当となる訳ではありません。次のような事例の場合は「本採用拒否」、「試用期間中の解雇」が認められる可能性があります。
<本採用拒否が認められる事例>
就業規則等へ記載されている下記の事項に該当する場合
・私傷病等により、就業できなくなったとき
・遅刻や早退、欠勤等を繰り返したとき
・著しく能力が不足しており、通常の教育訓練を行っても一定のレベルに達しないとき
・正当な理由なく、業務命令に違反したとき 等
<試用期間中の解雇が認められる事例>
就業規則等へ記載されている下記の事項に該当する場合
・採用に必要な資格や経験などを偽って採用されたとき
・健康状態を偽って採用され、職務に耐えうる状況にないとき
・度重なる指導を行っても、改善の余地が見受けられないとき 等
<本採用拒否が認められる事例>
就業規則等へ記載されている下記の事項に該当する場合
・私傷病等により、就業できなくなったとき
・遅刻や早退、欠勤等を繰り返したとき
・著しく能力が不足しており、通常の教育訓練を行っても一定のレベルに達しないとき
・正当な理由なく、業務命令に違反したとき 等
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